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『オブツーサ』っぽい植物

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Haworthia "HM85-643" x "Dodson Obtusa"



http://1911.up.d.seesaa.net/1911/image/1911-2013-04-15T23:03:11-2.jpg
種子親4月の様子

恐ろしいことに2010年の実生でした。
遅い。
遅すぎる。
しかも生えた時は9株で、2011の段階で4株。
たしかそのあと2株溶けて、結局去年ラス1になった。
悲しい。

それでまあある程度のサイズ、と言ってもご覧の通りの小ささですが、何となく特徴が掴めるような感じにはなってきましたよ。
・・・・・・ドドスンと変わんねえなコレ。
葉っぱが短くて表皮が厚い。
角張ってるからてっぺんも truncated しちゃうんだろうなあ。
種子親寄りの中間型が良かったんだけど。
もっと柔らかめ(皮薄め)で半球状の頭が良かったなあ。
今年蒔いた‘ガラスコンプト’ x ‘オラソニー’は発芽すらしない・・・。

一応 【(stayneri x joeyae) x joeyae 寄りの dielsiana 】 という配分になりそうです。



こんな感じの個別の品種名がない園芸上の個体が現状どのような名前で呼ばれたり表記されているかと言うと『オブツーサ』というのが一般的。
狭義の H. obtusa とも違うし、広義の H. obtusa とも違うし、分類が変遷していったことも要因の一つで、単に『オブツーサ』と見聞きすれば「 H. ikra っぽい仔吹きしまくるアレ」が多数派だと思いますが・・・
・・・オブツーサの話は面倒なのでちょっと省略しますが、「原種だろうが雑種だろうが【オブツーサ / H. obtusa 】と書かれることが多い」、という部分について。

これは「原種か雑種か等を問題にしていない」というよりも「Group 的な概念・範疇で品種改良を行っていて、その Group 名に代表的な種小名を代用している」という解釈が近いのではないかと思います。
『オブツーサ錦』というが分かりやすいですが、出地・由来を問わず「オブツーサっぽい頭の丸めな植物の斑入り」はだいたい『オブツーサ錦』と呼ばれるので便宜的に『(従来とは)別系統』等と注釈がついてたりもします。
メジャーな三角窓のアレとか、黄緑肌で‘宝草錦’っぽい面影が強いヤツとか。

仮に『万象』のような名称が充てられていればもっと整理もしやすかったでしょう。
今から『玉露』や『玉章』辺りの名前を再利用・応用するのも一つの手ですが、死語になりかけているし往年から親しんでいた方にはかえって分かりにくくなる場合も出るかもしれません。
逆に収集歴の短い方たちには新たに定義し直しておくことで今後の品種整理の為になるとも考えられます。
もっとも新たに浸透・周知・認知させることは大変でもあるし、「昔こう呼んでいた」「これが本来の玉露」とかその辺の言葉はなかなか幅をきかせたりもしますが。




話が前後するというかその辺を踏まえて H. latispina n.n. の記事の続き。

http://1911.seesaa.net/article/365333091.html

野生種・野生植物とそれほど見た目が変わらない植物は学名で表記されるべきか、問題。
野生分類群・現地での集団のまとまりを指す単位である学名をそのままの意味で園芸上も使うことはやっぱり難しい。
以前は「分類学と同様の意味で使うべき、怪しい個体は園芸上の品種名で呼称すべき」という考えが個人的に強かったです。
crassulaceae.ch なんかもこの方向性がかなり強かったため。
最近は目線の重心を園芸寄りにして、「それっぽく見えるものは雑種化してても学名でも良いんじゃない?」という感じもします。

これに対して、採集番号・自生地データが付記された株は『試料株(specimen)』あたりと呼ぶことでその立ち位置を園芸上の個体とは少し変えることで分類学的な側面を残す・・・というのはどうだろう。
「『産地データ付き原種』という言い回しがどこと無く不格好だし、データ無いのはどないやねん」的な感じなので『試料株』と呼ぶのはどうでっしゃろ?、ということで結果的に現状の学名の使われ方とあんまり変わってないような落し所。
簡潔な用語を用いることでその性質、植物の位置付けをより分かり易く表現出来ないかなと。
逆に試料株ではない個体、データのない株は学名で表記されていてもあくまで園芸上での整理記号に過ぎず分類学的価値は持たない・・・という暗黙の了解。
ハオルシアはどうしてもこの辺が妥協点になってくる。
新種が続々と発見されていて分類作業がまだまだ過渡期で園芸上でも原種と品種が混在し、一部の品種は原種の特徴の延長・発展型を目標としている現状なら画期的で根本的な解決策もないし、しょうがない。
(馴染みのある古くからある種でない記載の新しい種だと純系の品種のような印象を受けたりしやすい気がするしちょっとややこしい、という面もある。)
実質的に「一部の原種っぽい見た目の雑種も学名で表記される」ということでもあるので恐らくこれからも似たような疑問が投げ掛けられたり意見の対立が出る部分でもあると思います。

『試料株(specimen)』としたのは『標本株』だと品種の見本みたいな意味で使われることが多いし、type標本ともややこしいような気がしたんで。
「分類学上の考察にも価する断片的な試料・資料としての一株」みたいな意味でもっと良い言葉があれば何でも良いんですが。
試料株だと言葉の印象から園芸的なニュアンスよりなんとなく理系的な雰囲気しない?って思ってますが適切な用語と言えるか個人的な知識だとなんとも。
株だとなんか菌類っぽいし『試料"木"』のほうが良いかも?
(品種の見本はそのまま見本株とかそんな呼び方のほうがイイんじゃないかなとも思います。 栄養系品種には True type っていう言葉もあるみたい。記載発表に使われた個体そのもののクローンとして説明する場合とか便利そうな用語だけど資料がなかなか見付からない。案の定フォントばっかり引っ掛かる。)



『オブツーサ』とかの話に戻ると、万象なら「万象に見えるかどうか」が万象であるための条件として慣習的に判断されている。
万象に関しては H. maughanii の野生型及びその発展型、延長線上にある形態に限られるというイメージが固まっている・概念が強固であるため、それほど問題ない。
つまり‘宝草錦’と交配して斑入りの中間雑種個体からせっせと戻し交配したものでもそれが「万象として違和感がなければ万象として評価され受け入れられる」。
逆に言えば肌色が妙に緑掛かっていたり、葉先の具合に「万象として違和感があったりすれば万象そのものとしては評価されない」。
また『コンプト』なんかはかなりざっくりしていて、H. retusaH. bayeri (いわゆる『コレクタ』としての代表的な種)に近いような個体も『コンプト』等と呼ばれる。
野生型そのものの型から全然外れたような個体もときにはまんま H. comptoniana
画像の個体に関しては『オブツーサ』でも通るし、ちょっとハオルシアが好きな人には 『H. dielsiana』ということになる。
いずれにしろ「違和感があるかどうか」というかなり個人の主観に依るところが大きくなる。

玉扇・万象、レツーサ型の園芸的な歴史が古い植物ほどこの傾向は強いような気がしますが、一方で個人的な予想では「試料株以外には学名を使わない」という考え方を持つ層が緩やかに増加していくのではないか?・・・という気もします。
例えば現在でも H.‘Luna’に H. globosiflora を戻し交配するという改良がちょくちょく行われていますが、これが遺伝子的な割合やその姿を H. globosiflora に近付けても 「H. globosiflora そのもののような表記にはならず、園芸品種 H. ‘Aaa’として扱われる(H. globosiflora ‘Aaa’でもなく)」という認識する方が多数派ではないかと思います。
(‘Luna’にしてもそもそも H. globosflora そのものの雑種なのか、戻し交配に使った個体も H. globosflora そのものなのか、なんていうことでありますが。)

そんなこんなで「原種って何なんだろう・・・?」みたいな気分になったりも。
「原種の優良個体を探す」なんていうことをしている時点で群単位としての種を見ているワケではないし、個体単位で園芸品種として見ている側面のほうが強いワケで、一週回って「単純に見た目が気に入った草を収集すれば良いじゃない」みたいな。
ただやっぱりコクションというのは整理をするということでもあるのでどうしても名前の問題は切り離せない部分でもあります。



ベンケイソウ科はどうかというとやっぱり本体と花で記載文献を参照することでそこそこイケるんでない?・・・ってことでハオルシアとはやっぱり別の分野というふうに納得するべきか。
そもそも分類があまり動かないし。

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